プロバイオティクスは、特に乳児にとって腸内細菌のバランスを整えながら免疫を発達させ、感染症を予防するものと考えられています。そこでプロバイオティクスの中から乳酸菌を代表するロイテリ菌とビフィズス菌に着目し、これらが保育所に通う乳児の感染症予防に与える影響を明らかにするために臨床試験が行われました。
親の判断で母乳育児を中止した生後4~10カ月の乳児201名を対象として、牛乳を原料とする育児用粉ミルクが与えられました。この粉ミルクにロイテリ菌(107CFU)を添加するグループ(68名)、ビフィズス菌(BB-12菌:107CFU)を添加するグループ(73名)、プロバイオティクスを添加しない対照グループ(60名)の3グループに分け、それぞれ12週間摂取してもらいました。そして投与期間中、鼻水、咳、息切れなどの呼吸器系症状、下痢を伴うすべての消化器系症状、発熱(38℃以上)のほか、病院受診回数、保育所欠席日数、抗生物質処方回数などが調べられました。*13
その結果、ロイテリ菌もしくはビフィズス菌を添加したグループは対照グループに比べて、発熱の回数が有意に少ないことに加えて、下痢の回数も少なく、それらを発症した期間が有意に短くなりました(いずれもp<0.001)。さらにロイテリ菌を摂取したグループでは、ビフィズス菌を摂取したグループと対照グループに比べて発熱日数をはじめ、病院の受診回数、保育所の欠席日数、抗生物質の処方回数が有意に少ないことも確認されました(発熱日数:p<0.001、受診回数:p=0.002、欠席日数:p=0.015、処方回数:p=0.037)。これらの結果をもたらした理由はロイテリ菌が免疫応答を調節することに起因すると考えられ、本研究結果をした研究者は「本試験では評価した多くの結果において、一貫してロイテリ菌が優れていた」と論文に記しています。
*13 を一部改編
*13 Twetman S et al. Acta Odontol Scand. 2009;67:19–24.
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹を繰り返す皮膚疾患で、皮膚のバリア機能が低下した状態に、食べ物やほこりなどを通じたアレルゲンの侵入やストレスなど多様な環境的要因が重なって起こると考えられています。
アトピー性皮膚炎は、特にアレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」を作りやすい体質の人に多いとされていることから、腸内環境を整えることを通じて免疫機能にも好影響を与えるロイテリ菌によって改善することが期待できます。そこでアトピー性皮膚炎を発症している乳幼児を対象に、ロイテリ菌摂取による効果を確認する試験が行われました。
中等度のアトピー性皮膚炎と診断された乳幼児50名(生後3カ月~4歳)を2グループに分け、ロイテリ菌(108CFU)含有のリキッドもしくは同型状のプラセボを12カ月間、毎日摂取してもらいました。*14
その結果、ロイテリ菌を摂取したグループでは湿疹が有意に減少し、皮膚表面の湿疹面積が平均57%減少しました(P=0.024)。そしてかゆみやそれに伴う不眠などの主観的な症状も46%減少し、有意に低下していることがわかりました(P=0.024)。またアレルギーと深い関係があるIgE量はプラセボを摂取したグループで有意な増加が認められましたが(P=0.022)、ロイテリ菌を摂取したグループでは確認されませんでした(P=0.133)。これらの結果からロイテリ菌はアレルギー症状を軽減する可能性が高いことが示唆されました。
*14 を一部改編
*14 Twetman S et al. Acta Odontol Scand. 2009;67:19–24.
口内の約500種類以上の菌のバランスをロイテリ菌がコントロールすることで、不要な悪玉菌を殺菌し、炎症を抑制します。歯周病や歯肉炎を抑え、歯槽膿漏になることを防ぎます。
スメルハラスメントの原因として話題を集めている「口臭」。ロイテリ菌の日常的な摂取が臭いの元となる悪玉菌を抑制することで口臭対策につながります。
ロイテリ菌は機能性腹痛(FAP)などの細菌、真菌性の感染症を減少させ、腸内環境を整えます。便秘の改善から「ピロリ菌」の抑制、ロタウイルス胃腸炎の改善に効果を発揮します。
腸まで生きて届き、免疫を向上させることで健康が増進されます。また、胃腸も健康になることで、感染症アレルギー、アトピー性皮膚炎の改善にも力を発揮します。