スメルハラスメントのひとつ
「口臭」を改善

口臭の原因となる悪玉菌の集団形成を予防

近年“スメルハラスメント”の原因として話題を集めている「口臭」。この口臭の原因となっているのが食べ物と細菌です。
そして細菌性の口臭は一般的に臭気が強いため、周りの人はとても気になります。この細菌性の口臭の原因となっているのが、歯周病菌やミュータンス菌をはじめとするむし歯菌などの口にいる悪玉菌で、歯周病やむし歯が進行しているときに発生するほか、悪玉菌そのものが特有の臭気を発することもあります。

むし歯をもたらすミュータンス菌や歯周病菌を抑制することが認められているロイテリ菌について、口臭改善効果の可能性を探る検討が行われました。25名(19~25歳)の被験者を2グループに分け、ロイテリ菌(108CFU)を含むチューインガムもしくはプラセボのチューインガムを与え、14日間にわたり午前中と夕方の食事摂取1時間後に10分間咀嚼してもらいました。そしてチューインガムを咀嚼した期間の前後で、最低2人の官能検査判定者によって「0(無臭)」から「5(非常に強い臭い)」までの口臭スコアに基づく口臭の評価が行われました。*9

ロイテリ菌を含むチューインガムを咀嚼した結果、口臭スコアに有意な低下が認められました(p<0.05)。そして試験前には0%だった口臭スコア0~1は、ロイテリ菌を摂取したグループで28%に達しました。口臭対策として一般的なのは、歯みがきや舌の清掃、抗菌剤を含む洗口液です。ただしこれらの方法では歯磨きなどを行った後、比較的すぐに悪玉菌が集まってくる可能性があります。一方、ロイテリ菌は唾液中で増殖し、プラークに集まる悪玉菌と競合するため、口腔内環境に局所的な影響を及ぼし、悪玉菌の集団形成を予防します。これらのことからロイテリ菌の日常的な摂取が、口臭対策につながることが期待できます。

ロイテリ菌摂取グループとプラセボ摂取グループの口臭スコアグラフ

*9 を一部改変

*9 Keller MK et al. Acta Odontol Scand. 2012 May;70(3):246-250.

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