2018.10.10

ロイテリ菌と病気

バクテリアセラピーは本当にアトピーにも効果があるの?

バクテリアセラピーは本当にアトピーにも効果があるの?

虫歯や口臭予防など、様々な効果があるとして知られるバクテリアセラピーは、アトピーなどのアレルギー症状についても効果が期待されています。

それが、ロイテリ菌を使用したバクテリアセラピーになります。

では、どのような点において、効果があるとされるのでしょうか。

今回は、ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーとアトピーなどのアレルギー症状との関係を具体的に説明します。

1.バクテリアセラピーはアトピーに有効なのか?

ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーがアトピーに有効であると考えられている理由として、次の2点が挙げられます。

理由①.免疫細胞とのコミュニケーション
理由②.サイトカインの調整

理由①.免疫細胞とのコミュニケーション

免疫細胞には、樹枝状細胞や抗原提示細胞、T-細胞、上皮細胞など、さまざまなものがあります。

バクテリアセラピーに使用されるロイテリ菌は、これら免疫細胞とコミュニケーションを取り、免疫細胞の作用を修正できることが、研究により明らかになっています。

理由②.サイトカインの調整

ロイテリ菌は、サイトカインを調整する作用があることが分かっています。

サイトカインとは、免疫細胞によって分泌されるタンパク質のことで、免疫情報の伝達や、炎症反応の促進、抑制などに関係します。

なお、サイトカインには、炎症を抑える「抗炎症性サイトカイン」と、炎症を促進してしまう「炎症性サイトカイン」がありますが、アトピー性皮膚炎と関連深いのは「抗炎症性サイトカイン」です。

ロイテリ菌は、腸内において抗炎症性サイトカインの分泌をサポートし、結果的にアトピーの症状を抑えることが分かっています。

また、口腔内などでは炎症性サイトカインの分泌抑制をすることで、炎症を抑えるということが報告されています。

2.バクテリアセラピーのアトピーに対する効果は?

ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーで、アトピーに対して効果は次の3つがあります。

効果①.アトピー性皮膚炎
効果②.牛乳アレルギー
効果③.家族がアレルギーを持つ子どものアレルギー

効果①.アトピー性皮膚炎

ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーによるアトピー性皮膚炎の改善の可能性について、スウェーデン・ルンド大学病院・アレルギー科による2009年の研究があります。

研究は、重度のアトピー性皮膚炎で入院している乳幼児50名に対して行われました。

乳幼児を25名ずつの2グループに分け、片方のグループにはロイテリ菌を、もう片方には効果のない偽薬(プラセボ)を、12ヶ月にわたって投与しました。

12ヶ月後、プラセボのグループには症状の変化はありませんでした。それに対して、ロイテリ菌を与えたクループには効果がはっきりと現れ、アトピー性皮膚炎による湿疹が57%減少しました。

効果②.牛乳アレルギーを改善する

牛乳アレルギーを改善する効果がロイテリ菌にあることが、2005年に行われた研究で明らかになっています。牛乳アレルギーの幼児15名を2つのグループに分け、片方のグループにはロイテリ菌、もう片方にはプラセボが投与されました。

ロイテリ菌を投与しているグループは、牛乳を飲み続けたにもかかわらず、湿疹やかゆみなどのアレルギー症状が悪化した子どもはいませんでした。

それに対して、プラセボが投与されたグループでは、牛乳を飲むことによる湿疹の悪化が全員に見られ、抗ヒスタミン剤やステロイドを使用して、治療を行わなければいけませんでした。

効果③.家族がアレルギーを持つ子どものアレルギー

家族がアレルギーを持つ子どものアレルギーの改善が、ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーで期待されることについて、2007年に研究結果が発表されています。

この研究は、188の家族に対して行われたもので、2グループに分けた片方にはロイテリ菌を、片方にはプラセボを、妊娠36週目から出産までの母親と生後12ヶ月までの新生児に投与しました。

子どもが2歳を過ぎると、アレルギーによる湿疹の症状にはっきりとした差が現れ、ロイテリ菌のグループは、湿疹の発症が8%に減少したのに対し、プラセボのグループは20%に留まりました。

3.まとめ

ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーには、このようにアトピーなどのアレルギー症状に対しても効果が期待されています。

アレルギー症状に悩まれている方は、まずは皮膚科を受診することが大切です。その上で、医師と相談の上、ロイテリ菌を使ったバクテリアセラピーも取り入れてみてはいかがでしょうか。

森下 竜一 先生

監修:森下 竜一 先生
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授

医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。

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