バクテリアセラピーセミナーレポート

#1 スヴァンテ・ツウェットマン博士

今注目の
バクテリアセラピーと
ロイテリ菌の関係とは?

細菌バランスの取れたバイオフィルムが、
健康と安寧を実現する。

まず私が強調したいのは、バクテリアのバランスと多様性の維持が大事だということ。体内の菌のほとんどは善玉菌ですが、その善玉菌のバランスというのが、私たちの健康にとって大変重要になります。また「あまりにバクテリアが少なくても病気になってしまう」ということも、私たちが気づくべき重要な点です。
いろいろな細菌によって構成される「バイオフィルム」では、細菌のバランスが安定して取れていることが重要です。バイオフィルムが多様性に富み、安定していればこそ、健康・安寧が実現されるのです。

頭のてっぺんから足のつま先まで、からだの表面・内部ありとあらゆるところに存在する「バイオフィルム」。

中でもおロの中と腸管内は、バイオフィルムがある場所において最も重要

バイオフィルムの特徴
個性がある
薄さや密度、回復力、ストレスに対する耐性が、人それぞれ異なっている。
変化する
同じ人であっても、人生の段階でだんだん変わったり、食事内容によっても異なってくる。
多様性に富む
たくさんの種類の細菌によって構成。通常は善玉菌が大半だが、中には少数悪玉菌も含まれる。
バイオフィルムの多様性が損なわれると、バランスが壊れ
さまざまな病気に関わってしまう。
バイオフィルムの多様性を維持して、
有益菌有害菌のバランスを
10対1に保つことが健康を実現する。

ロ腔内のバイオフィルムの健康を保つ、
新コンセプト「バクテリアセラピー」。

そこで出てきたのが、「ロ腔内の悪い菌を殺す」のではなく、「ロ腔内のバクテリアをコントロールする」という考え方です。例えば、ロ腔内の衛生管理をきちんとしたり、唾液や酵素、フッ素入り歯磨きでおロの中をきれいにしたり、あるいは、糖分・ジュース類を控えたりすることで、ロ腔内のバイオフィルムの健康を保ちます。
また、ロ腔内バクテリアをコントロールするための方法として、「バクテリアセラピー」という新しいコンセプトも出てきています。有益なバクテリアを取っていただくことによって、悪いバクテリアに取って代わるというものです。
ロ腔内のバクテリアをコントロールする方法

乳製品とタブレットから摂取できる、
「良いプロバイオティクス(有益菌)」とは。

重要なポイントは、「摂取する菌によって効果が変わってくる」ということです。ひとことにプロバイオティクス(有益菌)といっても、菌によってその効果は異なります。「良いプロバイオティクス」を摂る方法はニ種類。
乳製品から摂取する方法と、錠剤・タブレットなどから摂取する方法です。乳製品はミネラルも同時に摂ることができるため、お子さんがいらっしゃるご家庭には良いかもしれません。利便性を求める大人の方は、さっと摂取できるタブレットも良いと思います。
「良いプロバイオティクス」を摂る方法

乳製品
ミネラルも同時に摂ることができる。

タブレット
すばやく摂取でき利便性に優れている。

少なくとも1週間に4日間、
継続して摂取することが大切。
また、従来から科学的根拠のある療法に
上乗せして併用
すると効果的。

おロの中のバクテリアセラピーで、
人類全体の健康を高めましよう。

プロバイオティクスによって口腔内改善を行い、おロの中のバクテリアが健康な状態になると、体の中でドミノ倒しのように、あれがこれ、これがそれ、という風に健康的な効果が連鎖し、やがて全身の健康に結びつきます。
またプロバイオティクスの推進は、決してそれを行う個々人の健康に対する効果だけではなく、いわば、これからの人類全体のためにもなるのだと、私は思っています。私たちの友たる有益菌と一緒に暮らすことによって、さらなる健康を高めましよう。
※2017年8月の講演内容を書き起こし日本語訳して編集したものです。
講師プロフィール
スヴァンテ・ツウェットマン|SvanteTwetman
歯学博士・小児歯科専門医
1974年スウェーデン王立カロリンスカ医科大学歯学部卒業、博士号取得。デンマークコペンハーゲン大学保健医学・歯学部カリオロジー科主任教授、小児歯科専門医。主に小児および若年成人における健康及び疾患状態におけるバイオフィルムの役割、リスクアセスメント、そしてカリエス予防に焦点を当てた研究を行う。250件以上の論文を執筆し、世界的に講演を行う。
また、スウェーデンの社会保健技術評価機関のコンサルタントであり、システマティックレビューとマッピング解析に携わっている。2001年にはIADR Distinguished Scientist賞を、2011年にIADR Borrow Awardを受賞。
※(IADR=lnternational Association for Dental Researc)