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全身を司る体内菌

ヒトの体内には、500兆~1000兆個、500~1000種類の細菌がすみついており、その住み家は口、鼻、胃、小腸、大腸、皮膚、膣などほぼ全身に及びます。

細菌の種類や組成、密集の度合いは場所によって異なり、一人ひとりの体内で固有の集団である細菌叢さいきんそうを形成し、全身をコントロールしているのです。
細菌叢は顕微鏡で覗くと、まるでお花畑のようなことからフローラと呼ばれています。

全身を司る体内菌

一人ひとりに
固有のフローラ

ヒトはほぼ無菌状態で生まれた後、母親や周囲の環境から細菌をもらい、時を経るごとにその数や種類は増えていきます。
この菌の種類や割合は人によって異なり、全く同じフローラを持つ人はいません。
菌の種類は基本的に5歳までには決まると言われていますが、年齢や生活習慣の変化に応じて、菌の量や菌同士の勢力関係は変わり続け、老化とともにフローラの環境は悪化してしまいます。

体内に存在する
菌の分類

体内菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌ひよりみきんの3種類が存在しています。
体内菌はグループをなしてお互いにテリトリー争いをしながら生きています。体内菌の中で高い割合を占める日和見菌は、優勢な菌の味方としてフローラの形成に影響します。
善玉菌が優位にたつと人体にとって有用な働きがあることが報告されています。反対に悪玉菌が優勢になると、フローラが崩れさまざまな健康被害が生じてしまうのです。

体内菌の標準的なバランス

グラフ
善玉菌2 悪玉菌1 日和見菌7

菌が集中する
口腔内

ヒトのカラダのなかでも口腔内と腸には多くの菌がすみついており、広くフローラが形成されています。
消化器の始まりでもある口腔内には1000億個・500種類以上の菌が、また腸内には500兆~1000兆個、500〜1000種類の菌が存在しています。

腔内フローラ」

は「カラダ」の入り口としてヒトの健康維持に深く影響しています。500種以上の細菌がフローラを形成し、口腔内の健康を保っています。口腔内フローラのバランスが崩れると、虫歯や歯周病などのトラブルが発生してしまいます。
また、フローラが乱れることによって勢力を増す歯周病菌が腸内フローラにも影響を及ぼし、さまざまな疾患の発病の原因になることがわかりはじめています。

口腔内フローラ

歯周病は万病の元

口腔内フローラが崩れると、歯周病が引き起こされ、歯肉や骨の血管を通して細菌由来の病原因子や炎症の場で作られる物質(サイトカイン)が全身に巡ります。
結果として、糖尿病や動脈硬化、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞、早産・低体重児出産、骨粗鬆症等の原因になると報告されています。 歯周病は慢性疾患のため治癒しない限りその状態が持続します。カラダの入口であるお口は時として死に至る疾患の原因にもなりうるのです。

肺炎と歯周病

歯周病は肺炎とも深い関係があります。肺炎は日本人の死因の第三位にあたる病気ですが、その中で高齢者が約9割以上も占めており、特に誤嚥性肺炎ごいんせいはいえんが危険視されています。
高齢者をはじめ寝たきりの患者は、口腔内の清潔が十分に保たれづらいこともあり、口腔内に存在している肺炎の原因となる細菌が増殖しやすく、咳反射が弱まり嚥下機能が低下してしまいます。その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、誤嚥性肺炎を発症するきっかけとなるのです。

内フローラ」

はヒトの健康な生活には欠かせない「栄養素」の入り口です。
また、カラダの免疫システムの70%が腸に集中しています。
腸内細菌はこれら腸の機能に大きく関わっているほか、近年では、腸内細菌が作り出すさまざまな物質が、脳や他の臓器に大きく関与することがわかっています。
このように腸内フローラはヒトのカラダの健康維持に深く影響しているのです。

腸内フローラ

腸は 第二の脳

腸には、神経がくまなく張り巡らされており、脳からの指令がなくても動くことができます。腸神経は、脳とは独立したネットワークで他の消化器官と協調して働き、ほかの臓器にも直接指令を出しています。
そのため腸は第二の脳とも呼ばれています。 この一方で、脳からの指令も受けており、脳がストレスを感じると腸の働きを乱してしまいます。

腸から有害物質が全身へ

ストレス、食生活の乱れ、運動不足、過度の清潔志向、抗生物質を使った治療、そして加齢等によって腸内フローラが乱れると、腸内の悪玉菌が優位になります。
悪玉菌はタンパク質を腐敗させ、有害物質を発生させることに…有害物質は腸内に留まることが出来なくなると腸壁から血液に流れ出て、カラダのあちこちに影響を及ぼします。

腸内フローラと体内時計

近年では、腸内フローラが乱れると体内時計が狂ってくる、という研究も進められています。体内時計は体温、血圧やホルモンなどのリズムを整えており、乱れると生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)等のリスクが高まることも問題視されています。
体内時計の乱れが睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を妨げることから、腸内フローラの状態は睡眠の質にも影響を及ぼすのではないかとも言われています。

腸内フローラ
整える

毎日をエネルギッシュに過ごすためには、体内菌のバランスと多様性を維持しながら、菌たちが生活しやすい環境を健康的な生活習慣でつくり上げ、菌と仲良く共存していくことこそが健康維持の秘訣なのです。

内フローラを
整える食生活」

食事で菌コントロール

善玉菌を含む食材を摂る(プロバイオティクス)

ブロバイオティクスとは腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物と定義されています。プロバイオティクスとして代表的なものがビフィズス菌などの乳酸菌です。ただし、すべての乳酸菌がプロバイオティクスといえるわけではありません。

プロバイオティクスの条件

  1. 安全性が保証されている
  2. もともと宿主の腸内フローラの一員である
  3. 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸内に到達できること
  4. 下部消化管(小腸下部や大腸)で増殖可能なこと
  5. 宿主に対して明らかな有用効果を発揮できること
  6. 食品などの形態で有効な菌数が維持できること
  7. 安価かつ容易に取り扱えること

以上のような条件を満たす菌だけがプロバイオティクスと認められています。また、納豆、味噌なども植物性乳酸菌といい、酸に強く腸まで届くプロバイオティクス食品です。

おすすめの食材
優れた善玉菌を含んだヨーグルト・納豆・味噌・乳酸菌飲料・塩麹・甘酒・ぬか漬け・チーズ・ピクルス・キムチ

善玉菌のエサになる食材を摂る(プレバイオティクス)

プレバイオティクスとはプロバイオティクスの働きを助ける物質のことで、以下のような性質を持ちます。

プレバイオティクスの条件

  1. 消化管上部で分解・吸収されないこと
  2. 腸内に共生する有益な細菌の選択的な基質であり、それらの増殖を促進、または代謝を活性化できること
  3. 腸内環境を整え、人の健康の増進維持に役立つこと
  4. 宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導すること

腸内で消化されにくい食物繊維やオリゴ糖などがその代表的なもので、善玉菌の大好物です。しっかり摂ることで腸内環境の改善につながります。

おすすめの食材
大根・にんじん・山芋・サツマイモ・海藻類・きのこ類・大麦・こんにゃく・ごぼう・アスパラガス・玉ねぎ・とうもろこし・バナナ・リンコ・大豆・はちみつ

サプリメントで補う

善玉菌や善玉菌のエサを食材で摂りきれない場合、安全性の高いサプリメントで補うこともできます。多種多様な乳酸菌のサプリメントがありますが、体内への定着がよい菌を選ぶことで菌質改善につながり、効率よく健康維持を目指せます。